さてさて、話は変わって、
趣味の範囲の話ですが、オリジナルの絵を描くにあたって、
創造力(&想像力?)を高めるために、
いろんな国の民族衣装を調べに調べてまわっていた私です。
衣装のデザイン、何よりその国特有の服飾の色使いをもっと知りたくて
ちょこちょこ図書館で調べていたのですが、
ある本屋さんで素敵な本と出会いました。
悩んだ挙句に購入して、それからはその本を何度も見ては、
「これは!?」と心惹かれた衣装の絵を
時間の合間合間に練習程度に描いておりました。
その素敵な本というのは、これです!
↓↓
『ヨーロッパの民族衣装 衣装ビジュアル資料』
著:芳賀日向
ヨーロッパ各地の民族衣装の豊富な写真と解説が載った資料本です。
ひとつの国の中にも地方によって様々な民族がいて、
それぞれの独自の文化があり、その衣装も素敵なものばかり。
眺めているだけでも楽しい本です♪
私の場合は、あの衣装もこの衣装も描きたくて描きたくてウズウズ・・・!
一度買うのを断念したのですが、
どうにも我慢できなくなって買っちゃいました。
いつもだったら、その時は「すごく欲しい!」と思っても、
だいたいは、しばらく経ったらある程度その物欲は収まるのに
この本に関してだけは一週間以上たっても、頭から離れなくて、
考えに考えた末に購入です。
それだけ、私にとってはこの本に魅力を感じていたのだと思います。
今回はこの本の内容というよりも、
この本に載っていた民族衣装を見本にして描いた絵をいくつか載せます。
あれもこれも描きたいものがありすぎてどれを描こうかと迷ったのですが、
中でも「これは描いてみたい!」と思った衣装を練習として描いてみました。
練習絵ですので拙いものですが、私が魅せられた民族衣装のいくつかをここにアップします♪
*スイスの衣装*
<アルプスの小さな姉妹たち>
西ヨーロッパ中部に位置するスイスの民族衣装。
地域によってその衣装も大きく異なり、
アルプス地方では高原の花を描いた刺繍が特徴。
実際の本の資料写真は、
青色の民族衣装を着て、三人の小さな少女たちが並んで立っている写真です。
それが本当にとっても可愛いのですっ!!
*ラトビアの衣装*
<ラトビアの仲良し親友>
ヨーロッパ北東部に位置するラトビア共和国の衣装。
綿糸で模様を織り込んだ長いサッシュ(※)が特徴。
サッシュには悪霊を追い払い、
それを着ている者を守る魔力があると伝えられている。
チェックのスカートはラトビア東部ラトガレ地方の特徴で、
エストニア、ロシアの影響を受けている。
※サッシュ = 柔らかい布にしわを寄せた飾り帯。
主に女性用でウエストに巻いたり肩から斜めに掛けて用いる
*ブルガリアの衣装*
<ブルガリアの双子姉弟>
東ヨーロッパのバルカン半島に位置するブルガリア共和国の衣装。
古代からバラが神聖とされ、民族衣装の刺繍にも受け継がれている。
刺繍同様、バラにも魔力があると信じられている。
女の子の足元までの長い白地のシュミーズは衣装の基本。
襟、袖、裾に刺繍が施され、模様は土地ごとに決まっている。
襟元、袖口などの幾何学模様はひとつひとつの形に意味があるという。
男の子のサッシュ(帯)は幅広、
ズボンも太めでウエストのところでギャザーが寄せられる。
といった、
世界には様々な民族衣装があるのですが、
その中で、最も私が魅了された衣装があります。
それはこの衣装ビジュアル資料本の最後に紹介されていた衣装です。
それが、サーミの衣装!!
サーミ族という少数民族の衣装です。
まず最初の一枚目の写真で、紺碧と赤の色に目を惹かれ、
次のページを捲ると、色とりどりに彩られた赤い帽子がもう可愛くて可愛くて
それで、この衣装は絶対描いてみたいと思って、
サーミの民族衣装の画像をいろいろ検索していたら、
サーミの方がアイヌ民族楽器のムックリを教えてもらっている画像が
パッと出てきて、それを見た瞬間ほんとにビックリしました。
「なんで?どうして?・・・サーミとアイヌって何か深い関係があるの?!」
ってもう必死になってその画像から関連を調べましたよ。
そうしたら、近年サーミとアイヌの交流がさかんになっているとか。
まさかサーミからアイヌに繋がるとは思ってもなかったです。
無性に嬉しく感じたのはなぜだろう。
せっかくなので、サーミの衣装の絵だけでなく、
サーミの民族について調べたことをまとめてみました。
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〜* サーミ について *〜
*サーミの衣装*
<サーミの母娘>
*生活について*
・フィンランド、ノルウェー、スウェーデンの北部、
ロシア北西のコラ半島に居住する狩猟・遊牧を行う北方少数先住民族。
・サーミは「太陽と風の子」と呼ばれている。
極北の自然を美しく染めあげる太陽と、
そこに吹きすさぶ風の恵みを父とし母として生きている民族。
・サーミは自分たちの住む地域をSapmi(サプミ)と呼んでいた。
・極寒の自然と一体となってテント (lavvo) や芝小屋で暮らし、
トナカイを追って生活していた。
・季節ごとに移動しながら、トナカイと共に遊牧して暮らしていたが、
18世紀後半になると、開拓や植民地化による影響で
そのほとんどが定住生活となる。
・サーミ人は長きにわたって抑圧され、
その文化が途絶えてしまう恐れもあったが、
今や世界のその他多くの先住民族よりも強い立場を確立していく。
*言語について*
・サーミ族の言葉はサーミ語。
フィンランド語に近いウラル語族フィン・ウゴル語派に
分類することもできるサーミ語。
・しかし、スウェーデン語、フィンランド語、ロシア語、ノルウェー語なども
ほとんどの人が話せるそう。
・ノルウェーのサーミ人は、北部サーミ語、ルレサーミ語、 南部サーミ語という
3つの異なるサーミ語を話す。
*信仰について*
・万物に霊が宿る精霊信仰。
・人間の健康、動物の繁栄、自然がもたらす様々な災害や恩恵は
精霊の力によるものとして信じていて、
例えば、重い病気の者は悪霊に魂を盗まれたと考えられていた。
・そのため、全ての事象の根源である精霊の声を聞く
シャーマン(呪術師)の存在は中心的な存在であった。
*民族衣装について*
・コルトと呼ばれる、色彩豊かな上着の民族衣装。
・コルトは地方ごとに帽子のデザイン、フェルトの地色や飾り付けに違いがある。
だから、コルトを見ればどこの出身かが分かる。
・一時はコルトを着る人が少なくなり、縫える人は減少してしていたが、
再び民族衣装を積極的に身に着けていこうという若い人たちの想いから、
普段着としてもコルトを着る人が増えてきている。
*サーミの歌 ヨイク について*
・サーミ人の音楽を特徴付けるのは、
ヨイク と呼ばれる、基本的に無伴奏の即興歌。
・シャーマンが精霊と交信を行う際に
必要不可欠な詩吟がもとになっている。
・自然界とコミュニケーションを取るための方法として用いられた。
また、人間同士のコミュニケーションのためにも用いられる。
例えば、赤ん坊が誕生した時、その子供に対しても歌われ、
親しい人同士で、その人の外観、人格的美点欠点、
人生など描写したヨイクを歌い合うこともあった。
また、たった一人でトナカイが牽く橇に乗ったとき、
その孤独を癒すためにも歌われた。
*ヨイクの復活について*
18、19世紀にかけて、
ヨイクなどの民族的なものを否定する価値観にさらされていた状況になる。
存続のために、弦楽器や打楽器、管楽器による伴奏がつくなど変化しつつも、
それでも、だんだんと歌われなくなっていきました。
老年層のほとんどはヨイクを歌おうとせず、
中年層はヨイクを知らないといった状況が生まれつつあったが、
ヨイクは復興の兆しを見せる。
若いインテリ層が民族的アイデンティティの復興と確立を掲げ、
ヨイクを再興し始めたのである。
それでも、政府によって処罰の対象とされていてその復興が進まなかった。
しかし、ニルス=アスラク・ヴァルケアパー(通称:アイル)という
フィンランド国籍のサーミ人現代詩人がヨイクを始めたことで一気に進んだ。
彼の目的は、古いスタイルのヨイクを、
あくまでその基本を損ねることなく復活させること。
ニルスは1994年ノルウェーのリレハンメルで行われた冬季オリンピックの
開会式壇上でヨイクを熱唱し、多くのサーミ人に勇気と希望を与えた。
*アイヌ民族との交流について*
・2012年
サーミとアイヌのフェスティバルが
アイヌの音楽家も参加してノルウェーで開催された。
アイヌのアーティストであるOKIとマレウレウがメインゲストとして参加。
・2013年
7月に2回目のフェスティバルが札幌で開催。
昨年に引き続き八谷麻衣さん(マレウレウ)が参加、
そこでアイヌの伝統様式を紹介する。
サーミの音楽家も参加しており、サーミ族の人たちも日本を訪れている。
・またアイヌの代表者は、
ノルウェーで開催される祭り『リドゥリドゥ(Riddu Riddu)』と呼ばれる
サーミの音楽と文化の年次フェスティバルにも参加している。
このフェスティバルは、サーミおよびその他の先住民族の文化を
広めることを目的に開催されていて、
ノルウェーのサーミと北海道のアイヌの積極的な協力が進んでいる。
※『リドゥリドゥ(Riddu Riddu)・フェスティバル』とは
・1991年から開催された祭り。
・「リドゥリドゥ」とは、サーミ語で《海岸沿いの小さな嵐》の意。
・サーミを軽蔑する風潮が色濃く残っていた1990年代初めに、
若者たちを中心にサーミの言語、文化、アイデンティティを
取り戻そうという運動が高まったことにより立ち上がる。
・サーミのみならず、世界の先住民族に芸術文化を紹介し、
子どもたちに先住民の歴史や言葉を教えるワークショップ等々、
教育関連のイベントにも力を入れている。
・音楽パフォーマンスが中心だが、アート、映画、演劇、舞踊、文学など
多角的なプログラムを取り入れている。
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民族衣装について調べていると、
世界各地に存在する少数民族が、人種、言語、宗教などの違いによって差別的に不平等な待遇を受け、社会的に不利な地位にあった時代があり、現在もそれが色濃く残っている民族が世界各地に存在していることを知りました。
衣装だけ見ても、民族それぞれに素敵な芸術文化を持っていることが分かるのに、それらの文化が衰退していっているのはとても悲しいことですね。
でも、そんな中でも『リドゥリドゥ・フェスティバル』のように、
人種や言葉の違いを超え、民族間との交流が世界各地で盛んになっていることも知りました。
近年、若い人たちの中で民族意識が高まっていき、民族文化の復興が進んでいる・・・。
そのことを知った時、何だか心が温かくなるのを感じました
今回紹介した本は、
ヨーロッパの民族衣装についてのみの衣装資料本でしたが、
同じ著者の方が出している、
『アジア・中近東・アフリカの民族衣装 (衣装ビジュアル資料) 』
という本もあります。
それは私もまだ持っていませんが、それも素敵な衣装がたくさん載っていました♪
ヨーロッパ各地のいろんな民族衣装を見て、いろんな刺激をもらったことだし、これから少しずつ絵を描き進めたいなぁと思います!
イヤイライケレ!