イランカラプテ!
今日も今日とて、アイヌを題材にした絵本を紹介します♪
『オキクルミのぼうけん』
萱野 茂・文
斎藤博之・絵
【あらすじ】
この世に、人間がうまれたばかりのころ。
人間の世界から、とおくはなれた神の国は、
あらそいごともなく、のどかで、いつもしずかでした。
オキクルミとはアイヌ民話における、地上で誕生した初めての神で、別名アイヌラックルとも呼ばれています。
この絵本の中にも説明があるのですが、アイヌラックルとは、
「人間に近い、人間の言葉もわかる神」
という意味なのだそうです。
いつも平和な神の国で暮らすオキクルミは、
「人間と一緒に働きたい」とアイヌの国へ行くために、
3つの試練を受けるが、最後の奇妙な試練
『どんなことがあっても笑ってはいけない』
という試練でこらえきれなくなって吹き出してしまう。
その夜、悔し涙を流していたオキクルミは、
勇気を出して、アイヌの国へと向かったのです。
そして、アイヌの人たちに、火のおこしかた、猟のやり方など、
生きていくための知恵をひとつひとつ教えていったオキクルミ。
ある年の冬、飢えに苦しむアイヌのために、
自分の食べ物をどんどんアイヌの人たちにわけ与えていきました。
神の国からきたオキクルミの妹も兄とともに手伝います。
しかし、心にもないひとりのアイヌの行動によって、
オキクルミはアイヌの国を去っていったのでした。
しかし、
オキクルミはけしてアイヌの人たちを見捨てなかったのです。
アイヌの国に、自分のかわりとしてアイヌを守ってくれる
強い強い神 ノヤウタサブ をつくっていったのでした。
その神さまは今も、沙流川という川のほとりの丘で、
アイヌの人たちを守っているのです。
これを読むと、オキクルミは本当にアイヌの人たちを大切に思っていた神さまなんだとわかります。
生きていくための手段を色々教えていった上に、ひどい仕打ちを受けたにも関わらず、人間を見捨てないオキクルミの懐の大きさに胸を打たれました。
神さまだというのに、オキクルミはそれを全く感じさせない人間味のある神さまという感じがまたいいですね。
お話だけでなく、斉藤博之さんが描かれる絵が、
このお話をより引き立ててくれているなと思います。
とても迫力があって、オキクルミの男らしさを感じました。
この絵本は、己の欲深さによってひどい目に合うという戒めと、
また、人間を心から大切に想っている神さまに感謝の心を忘れずにということを子どもたちに伝えたいお話のように私は感じました。
イヤイライケレ!