この小説はノンフィクション、本当にあったお話です。
川村カネト(川村カ子ト)さんは、小学生当時、アイヌ人ということでいじめにあっていたが、負けん気のその強さでかつては弱虫だった少年は、いつしか上級生たちでさえ手出しできないほどたくましい少年へと成長する。
蒸気機関車に感動したカ子トさんは小学校卒業後、鉄道人夫として測量隊の手伝いをしながら測量を学び、その時でも給与の面での差別、測量技手の試験を受けるというだけでひどい仕打ちを受けた。
だか、そこでもカ子トさんはくじけず努力を重ね、やがて測量技手試験に合格し、北海道各地の線路工事の測量に携わった。
それからのちに、戦前の日本では義務付けられていた兵役のため、二年間の軍隊生活を送る。
そこでも、アイヌ人として見世物にされ、深く心を傷つけられたカ子トさん。
兵役義務を終え、
再び鉄道測量技手として生活を送るなか、三信鉄道会社(現在の東海旅客鉄道JR東海)飯田線の前身となる路線を運営していた鉄道会社)から、たくさんの測量技師たちが尻込みしてしまうほどの難所である天竜峡〜三河川合間の測量を頼まれ、アイヌの人たちだけで編成した測量隊を結成し、長野県飯田市にある天竜峡に向かった。
自然の脅威と襲ってくる野生動物たちと戦いながらも、天竜峡谷測量を終えた後、休むまもなくカ子トさんは線路工事の現場監督をも務めた。
線路工事も難航を極めながらも少しずつ工事を進めていった。
しかし、最大の難関としたトンネルの工事の時、「おまえ(アイヌ)にこき使われるのは、もうまっぴらだ」という理由で、荒くれ者の土木作業員の男たちに暴力をふるわれ、男たちはそのまま始末してしまおうと、カ子トさんを土砂に埋めようとした。
体の半分を土砂にうずめられたまま、カ子トさんは静かにその口を開いた。
「おれは、おれの仕事に誇りを持って生きて来た。
おれを殺したからといって、アイヌ魂までも殺したと思うのは間違いだ」
カ子トさんは己の秘めた熱い想い、仕事に対する誇りを語る。
「なあ、おまえたち誇りを持って、トンネル工事を続けようじゃないか。」
顔色ひとつ変えず語り続けるカ子トさんに男たちは圧倒され、ただただ立ちつくした。
その後、ほかの作業員たちのおかげて助けられたカ子トさんは、この事件のあとも、ただひたすらに自分の信念を荒れくれ者の男たちに語り続けた。
そして、誰もがカ子トさんに尊敬の念を抱くようになり、荒れくれ者だった男たちをも心を入れ替えて力を合わせて仕事を進めるようになる。
そして、最大の難工事といれた天竜峡-門島間の線路工事は、三年の歳月をかけてみごと完成し、役目を果たした川村カ子トさんを隊長としたアイヌ測量隊は、北海道へと帰っていった。
これが、測量技手として男を賭けたアイヌの技術者である川村カ子トさんの生き様です。
う〜ん、うまくまとめきれていないですね。
すみません!
この本に書かれてあるのは、川村カ子トさんの前半生であり、三信鉄道開通後も樺太や朝鮮半島での測量にも従事していました。
戦後は視力の衰えから測量の仕事を離れ、昭和52年1月6日、その生涯を閉じるまで、アイヌ民族文化の保護・伝承を目的として彼の父が開館した『川村カ子トアイヌ記念館』の館長を務められたそうです。
三信鉄度に貢献したカ子トさんの話のほかに、飯田線の歴史を調べていた飯田線飯田保線区の施設係長である本田和夫さんが、かつてのカ子トさんの貢献を知ったことがきっかけに、カ子トさんが信州に招かれたことが書かれています。
「炎のアイヌ魂」とタイトルに書かれてある通り、
この本で、川村カ子トさんの測量技手としての誇り、揺るぎない信念、彼の中にあるアイヌの熱い魂を知りました。
アイヌというだけで幾度となく差別を受けながらも、けして胸の内にある誇りを失わず、信念を曲げずに生きてきた彼の生き様はとても心が打たれます。
自分の生まれ育った故郷である北海道だけでなく、命を落とすかも知れないという厳しい地だと知りながらも、異郷の地へと向かったその心意気には尊敬・尊重の気持ちを深く抱かずにはいられません。
ぜひ、少しでも多くの方がこの本を手に取り、川村カ子トさんの生き様を知ってほしいです。
あともうひとつ紹介したいことがあります。
実は、このカ子トさんの生涯を題材とした合唱劇があるのです!
合唱劇の発端は、まさにこの児童小説、「カネト−炎のアイヌ魂」がきっかけになったのだそうです。
アイヌについて調べている時に、偶然この合唱劇「カネト」のホームページサイトにたどり着き、川村カ子トさんのことを知りました。
ちなみに合唱劇「カネト」のホームページはこちらです♪
↓↓
ホームページを見ると合唱劇の公演のDVDやCDも出ているみたいですね。
一度は見てみたいなぁ。
イヤイライケレ!
※本日のお知らせ 【アイヌ関連のサイト追加】
*合唱劇「カネト」のホームページのリンクを追加しました♪
*アイヌ民族博物館 のホームページのリンクを追加しました♪