イランカラプテ!
今日はクリスマス・イブですね!
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
ん?私ですか?
私はいつもと変わらない時間を過ごしていますよ〜。
毎年のことなんですが、クリスマスっていつのまにか過ぎているような気がします(´Д`;)
みなさんは素敵なクリスマス・イブを♪♪
そしてそして、今日もアイヌを題材にした絵本を紹介します!
今回紹介する絵本はカムイ・ユーカラシリーズとして出されている絵本です。
カムイ・ユーカラとは神さまが一人称で語る物語のことで、
「サケヘ」と呼ばれる繰り返し語が特徴的です。
このシリーズ絵本も、それぞれに繰り返し語が謡われています。
この「サケへ」の意味についてですが、
この絵本シリーズすべてに、はじめのページで説明してくれているので、
その部分を参照して簡単に説明しますと、
今では意味不明に帰してしまったものもかなりあるようですが、
お話の主人公である神さまの本来の歌声、特徴となる動作、性質を象徴的にしたもの。
または、話の中の情景、あるいは事件そのものの象徴的に表したもの。
叫び・はやし・掛け声として用いられたもの、などの意味があるそうです。
「自然と共存してきたアイヌの先人から言い伝えられてきた
神々が語る、美しい生命の物語」と称されたこの絵本シリーズは、
アイヌ民族の伝承者、四宅(したく)ヤエさん の語ったアイヌ昔話を
藤村和久さんが文章にした絵本シリーズです。
ここで少し、簡単にですが 四宅ヤエさん について説明したいと思います。
四宅ヤエさんは、昭和時代のアイヌ文化伝承者の方です。
アイヌ民族の英雄叙事詩ユーカラや舞踊,歌謡を伝承し、
白糠(しらぬか)のアイヌユーカラ最後の伝承者といわれています。
昭和48年、北海道阿寒湖畔でアイヌ民族の熊祭りである「イオマンテ」を再現しました。
四宅ヤヱさんの語ったユーカラの録音テープなどが、北海道開拓記念館に保管されています。
昭和55年8月11日、76歳に亡くなられたそうです。
(※フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)を参照しております)
この絵本シリーズは全部で5弾あり、
第1巻 カムイチカプ
第2巻 ケマコシネカムイ
第3巻 チピヤクカムイ
第4巻 イソポカムイ
第5巻 エタシペカムイ
です。
この絵本シリーズの絵は版画で描かれており、
北海道出身で、版画家であり絵本作家の手島圭三郎さんが描いたとても美しい版画絵です。
この神々の物語の絵本シリーズはお話も面白いですが、絵もとても素敵なんです!
今日はそのシリーズから第3弾を紹介します!
第1弾から順番に紹介できたらよかったんですけど、
この本を借りた図書館には、残念ながら第3弾からしかなかったので
第3弾のお話からの紹介になります。ご了承くださいませ。
でも、お話は一話一話違うので、どれから読んでも大丈夫です。
『チピヤクカムイー神々の物語ー』
文:藤村久和
絵:手島圭三郎
《出版社からの内容紹介》
カムイユーカラシリーズ第3弾!!
天空の神様から人間たちの様子を調べるようにと言われたオオジシギの神は、
人間界の自然の美しさ・楽しさにうかれて大事な約束を忘れてしまい神々の怒りをかう。
オオジシギの神はなんとか許してもらおうと奮闘するが・・・。
この絵本の主人公である神さま、オオジシギ(アイヌ語でチピヤク)という鳥は
春頃にオーストラリア南部から北海道や東北地方にきて、
子育てを終えると秋には再びオーストラリアに渡り越冬する鳥です。
(チピヤクカムイについても絵本内で詳しく説明してくれています。)
アイヌ(人間)が語るユーカラ(英雄叙事詩)もそうですが、
カムイ・ユーカラも中には神や自然と人間の関係についての大事な教えが
語られているものが多くあります。
まさにこのお話も、私たちに大切なことを教えてくれるお話でした。
物語の最後にチピヤクカムイはこう語ります。
「たのまれたことは、けっしてわすれてはいけませんよ」と。
「なんだそんなことは当たり前だ」と思う方もいるだろうし、
中には「人間忘れることだってある」と思う方もいるかもしれませんが、
このお話を読んで、そんな当たり前のことが
改めてそれは生きている中でとても大切なことなんだと深く思い直すことができました。
子どもたちに聞かせるだけではもったいないなぁと思えるお話です。
なんでしょうね。
アイヌに伝わる物語は、改めてはっとさせられるお話が多いような気がします。
また、そんなチピヤクカムイからの教えだけでなく、
神々たちが、人間の国は美しいからもっと知りたいとチピヤクカムイを使いに出すというお話の始まりから分かるように、
神さまさえも憧れるほど、かつての北海道は美しい自然が広がっていた大地だったのだろうなと思いました。
いや、北海道だけでなく、日本全国、地球全体すべてがそうだったのでしょうね。
神さまさえも魅了していた人間の国、私たちが住む大地は、
当時はどれだけ美しい情景であったのだろうかと、
現代に生きる私のほうが憧れ、羨む!見てみたい!!
そして、手島圭三郎さんが表現する版画絵がとてもいいです。
私が趣味で描くのは、デジタルイラストがほとんどですが、
版画で描かれた絵もいい雰囲気でいいですね!
私が一番印象に残った版画絵は、
自分の失態で神々に怒りをかったチピヤクカムイが
人間の国へと落ちていく場面を描いたところです。
といっても、そのほかにも四季それぞれの美しい情景を描いた版画絵は、
どれもきれいで魅力的なものばかりです!
ぜひお話も絵も楽しんで読んでほしいです。
次回は、このシリーズの第4弾目の絵本を紹介しますので♪
それではみなさんよいクリスマスを!!
イヤイライケレ!