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〜*北海道にあるアイヌ語地名の例*〜
別 ⇒ 本別 士別 津別 ( ペッ = 大きい川 )
内 ⇒ 中札内 神恵内 幌加内 ( ナイ = 小さい川、沢 )
幌 ⇒ 札幌 士幌 南幌 ( ポロ = 大きい )
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ちなみに、
「ナイ」がつく地名は約22%
「ペッ」がつく地名は約11%
このふたつは特に北海道の地名に多く見られる。
アイヌ民族が付けた地名には、
長年そこに暮らしてきた人たちの知恵が込められているのです。
例えば、安全に暮らすための知恵として、
「大津波の時に逃げる場所」
「川の危険な場所」
などと地名にして、誰でも分かるように名づけていました。
アイヌ民族は生活に必要なものを自然の中から得ていたから、
「○○のあるところ」のように、どこに何があるのかを地名にして伝えていたのです。
「キトウシ」 = ギョウジャニンニクのあるところ
「キラウシ」 = 避難場所
「シキウシ」 = 荻のあるところ
「チライペッ」 = イトウ(さけ)のいる川
「ピパウシ」 = カラスガイ(食用貝)の多いところ
「ハルカ ラ モイ」 = 食料を採る入り江
北海道の地名には「ナイ(沢)」「ペッ(川)」がものが特に多い傾向なのは、
つまり、アイヌ民族の伝統的な暮らしでは、
川は交通路としても食料確保の場所としても、
とても大切な存在であり重要な場所であったということがわかります。
だから、アイヌ民族の人たちは山の奥にあるどんな小さな川であっても、その川の特徴に合った名前を付けていました。
地形の特徴を表す地名や、
動物や植物に関係する地名を付けて、
当時のアイヌ民族の人たちは自分たちの生活を守っていたのです。
このように、アイヌ語の地名には意味のないものがないので、
地名からその場所の特徴を知ることができる。
漢字に当てはめた地名であっても、もとのアイヌ語が分かれば、
その場所の特徴をしることができるのです。
しかし、もとのアイヌ語を考えようとするときに、
旭川、網走、釧路など、
いろいろな説に分かれている地名もたくさんあります。
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*〜いろいろな説に分かれている地名 の例〜*
〜『旭川』(あさひかわ)の由来〜
・「チュㇷ゚・ペッ」 = 「日・川」を『旭川』と意訳して村名に採用
・「チゥ・ペッ」(波・川) = 「波立つ川」
・「チュㇰ・ペッ」(秋・川)
〜『網走』(あばしり)の由来〜
・「チパ・シリ」(祭壇・島) = 「祭壇のある島」
※「チパ」は祭壇を意味する
・「チ・パ・シリ」 = 「我らの見つけた地」
・「ア・パ・シリ 」= 「我らの見つけた地」
※「チ」、「ア」はどちらも「我ら」の意
・「アパ・シリ」=「入り口の地」
網走川の河口の沖にある帽子岩を指したもので、
「祭壇のある島」と呼ばれていたものが古語のため難解になり、
元の意味が忘れられ、「チ・パ・シリ」 = 「我らの見つけた地」と解釈された。
更に「ア・パ・シリ」 = 「我らの見つけた地」と転じたともされる。
いずれにしろ「アパシリ」というアイヌ語を漢字にあてたものとされている。
〜『釧路』(くしろ)の由来〜
・「クスリ」 = 「薬」 「温泉」
※釧路川は「クスリペッ」、水源の屈斜路湖は「クスリトー」と呼ばれた
・「クツチヤロ」 = 「のどのようなところ」「沼の水が流れ出る場所」
・「クシベツ」「クシナイ」 = 「通り抜けることのできる川」
・「クシル」 = 「通路」
(※フリー百科事典 ウィキペディア 参考)
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このように、ひとつの名前でも諸説として様々あります。
また、現在使われているアイヌ語地名の多くが漢字で書かれているが、
それは明治以後にアイヌ語の発音に合わせて、
読み方の近い漢字にあてはめて表示されるようになったからです。
漢字にあてはめて表記したことで、
今日までに音や形が変わってしまったものが多く見られます。
例えば、「室蘭」(むろらん) がその例で、
明治期の呼称は「モルラン」としていました。
語源はアイヌ語の「モ・ルエラニ」からで、
意味は「小さな坂道の下りたところ」です。
古くから付けられている北海道の地名の中にも、
函館、千歳などのように、アイヌ語地名でないものや、
最近の市町村合併により新しく誕生した、北斗市や大空町などのように、
新しい地名が付けられることにより、アイヌ語地名が減ってきています。
それでも、北海道の地図を見ると、現在でも山や川の名前などはカタカナで書かれた地名が残っているところもあり、そのほとんどがアイヌ語地名です。
このように、アイヌ語地名は減少傾向にありますが、
まだまだ意味のわかるアイヌ語地名が残されています。
それらの地名を残すことで、アイヌ民族がずっと守ってきた知恵も後世に伝えることができるのです。
こうして見ると、地名も大切な文化の一部である、
ということアイヌの文化から知ることができました
最後に、
漢字をあてたアイヌ語の地名をいくつかここに。
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〜*漢字をあてたアイヌ語地名*〜
・厚岸(あっけし)
「アッ ケ ウシ イ」 = オヒョウ(カレイ)の皮を採る所
・歌志内(うたしない)
「オタ ウシ ナイ」 = 砂の・多い・沢
・恵庭(えにわ)
「エ エン イワ」 = 頭の・尖った・山
・空知(そらち)
「ソ ラッチ」 = 滝の・落ちる・所(川)
・女満別(めまんべつ)
「メム アン ッペ」 = 泉の・ある・川
・門別(もんべつ)
「モ ッペ」 = 静かな・川
・稚内(わっかない)
「ヤム ワッカ ナイ」 = 飲み水のある・沢
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イヤイライケレ!」