イランカラプテ!
最近はアイヌを題材にした絵本を読むのが楽しいです。
1、2週間に一度、
図書館から数冊ほどアイヌの絵本を借りては読んでいます。
アイヌを題材にした絵本は、
あまりないのかなと思っていたのですが、
実際に調べてみると、いろいろあるんですね。
それにその内容も、面白いもの、とても興味深いものばかりで、
子どもの時にも読みたかったなぁと残念に思いました。
大人になってから読んだ時と、子どもの時に読んだ時とでは、
読んだあとの感じ方、思った事など、
やっぱりそれぞれ違うでしょうし・・・。
これまで何冊かアイヌの絵本を読んできたけれど、
ぜひ今の子どもたちにも読んで欲しいなぁと心から思います。
とても面白いお話もありますし、
中には「こうしてはだめだよ」という
大切なことを教えてくれているお話があるからです。
少なくとも、私の住む地域の本屋さんには
アイヌを題材にした絵本はまったく見かけないので、
それが少し悲しい・・・。
(それは私の住む地域に限った事ではないかもしれませんが。)
なので、少しでもアイヌを題材にした絵本を知ってもらいたいので、
これから、少しずつでも、ここで紹介できたらなと思っています。
紹介といっても、本当にただ「こういう絵本がありますよ」という
お知らせみたいな感じになるかと思います。
私の持つ言葉では、面白いとか、悲しいとか、
そんな簡単な感想でしか伝えられないですが、
少しでも興味を持ってくれたなら嬉しいです!
さて、それではさっそく、
今日の一冊を紹介したいと思います!
↓↓
『 アイヌとキツネ 』
かやのしげる・文
いしくらきんじ・絵
【あらすじ】
わたしは、シコツ湖のちかくにすんでいたアイヌです。
秋になると、たくさんのシャケが、川をのぼってきます。
とおくの村からアイヌたちが、シャケをとりにきました。
クマやキツネたちも、あつまってきます。
ある夜のことです。
アイヌにはげしくチャランケ(だんぱん)している
いっぴきのキツネを目にしました。
この話は、アイヌ民族にかたりつがれたむかし話です。
この絵本が自然の声に、キツネのさけびに、
耳をかたむけるよび水になることを心からねがっています。
萱野 茂(かやの しげる)
この絵本は、
人間も動物たちも同じように
自然の恵みを受けて生きていることを教えてくれるお話でもあり、
自分勝手な人間たちを戒めているお話でもあります。
アイヌ民族の自然に対する関わり方、考え方を知れる絵本です。
なによりこのお話は、キツネの言葉がなにより深く心に残ります。
シャケはアイヌがつくったものでも、
きつねがつくったものでもない。
アイヌやクマやおれたちキツネが、
なかよくわけあってたべられるように
神さまが川をのぼるシャケのかずをきめているのだと訴える
キツネの言葉にはとても心打たれました。
言葉だけでなく、涙を浮かべて、
大きく口を開けて訴えて描かれているキツネの姿が、
さらにキツネの思いがよく伝わってきました。
それはまさに、自分たちの豊かな生活のために、
自然破壊を繰り返す、
現代の私たちに訴えかけているように感じられます。
この本の作者である 萱野茂さん も
「この絵本が、自然の声に、
キツネの叫びに、私たち人間が、
耳をかたむける呼び水になることを願ってやまない。」
とおっしゃっているように、
この絵本には現代のわたしたちが忘れてしまった自然に対する心を
思い出してほしいという思いが込められているのだと思いました。
思えば、昔の人たちは山の神さま、川の神さまと、
様々な神様を敬い、崇め、感謝していたんですよね・・・。
この絵本は、ぜひ読んでもらいたいです。
絵本の著者である、
萱野 茂(かやの しげる)さん
について。
この方は、生涯の大半をアイヌ民具・民話の収集、保存、
そして、多くの人にそれらを伝承する活動に尽力を注ぎ、
アイヌ民族・アイヌ文化の復興に多大に貢献された方です。
また、アイヌ初の国会議員となり、
「アイヌ文化振興法」制定に貢献されたそうです。
アイヌ民族として北海道で生まれ、
当時はすでにアイヌ語を自在に操れる者は少なかったが、
アイヌ語を完全に母語とする祖母に育てられたため、
アイヌ語と日本語、2つの言語を母語として身につけた。
(ウィキペディア参照)
萱野 茂さんの著されたアイヌに関する書籍は色々あるので、
もっと読んでいきたいです。
それでは、今日はここまで。
イヤイライケレ!